一心舎木工室の使命

私たち一心舎木工室は、もともと印刷会社として長く歩んできた一心舎から生まれた、新たな挑戦の場です。

そもそも私は、若い頃から建築が好きでした。大学では建築を専攻し、卒業後はハウスメーカーに就職。現場監督や設計の仕事に携わりながら、2級建築士の資格も取得しました。将来的には設計事務所でじっくり建築と向き合っていきたい、そんな夢も描いていたのです。

しかし、当時家業であった印刷会社の経営が思わしくなく、「このままでは会社が続かない」という危機感のなかで、私は大きな決断をしました。建築の道を離れ、家業を継ぐことを選んだのです。あれから25年。試行錯誤を繰り返しながら、印刷の仕事に深く向き合ってきました。紙、インク、デザイン、色校正、レイアウト。印刷には印刷の奥深さがあり、気づけばこの世界での経験も随分と積んできました。

そして、ここ数年。ふとした瞬間に思うのです。

「やっぱり、木が好きだな」と。

建築を志した頃の気持ち。木材の香り、手ざわり、空間に与えるぬくもり。それらにまた触れたくなった私は、ついに社内に木工のための機械を導入し、「一心舎木工室」として新たな一歩を踏み出しました。

そんな中で思いついたのが、「額縁とプリントをセットにしたオーダーメイドサービス」でした。これまで培ってきた印刷の技術と、新たに始めた木工の仕事。その両方を活かしながら、自分たちらしい価値を提供できるサービスをやってみようと思ったのです。

日本の住宅や店舗、施設の空間には、実は絵や写真が少ないと感じています。小さなアートならところどころ見かけますが、大きなものとなると途端に減ってしまう。けれど、本当は――お店のこの壁にこんな絵があったら、ずいぶん印象が変わるのに。おうちの玄関にお気に入りの写真があったら、朝の気分が少し明るくなるのに。病院や施設の待合室に風景写真が飾ってあったら、少し緊張がほぐれるのに。そんなふうに、ずっと思ってきました。

アートや写真は、人の心を豊かにします。

ただの装飾ではなく、その空間にぬくもりや想いを加え、そこにいる人の気持ちをやわらかくしてくれる力があります。

私たちのミッションは、そんな「心が豊かになる空間」をつくるお手伝いをすることです。

既製品では出せない温かみ、天然木の一枚板がもつ表情、そしてそこに合わせて印刷される世界で一つだけの写真やアート作品。それらを一体にして、記念日や贈り物にふさわしい、特別な一品としてお届けしたいと思っています。

開店祝い、新築祝い、結婚のお祝い、還暦や退職の記念、あるいは家族の何気ない日常を残すために。用途はさまざまですが、「そこにあるだけで心がほぐれる」――そんなものを届けられたらと思っています。

一心舎木工室は、印刷と木工の融合から生まれた、私たちのもうひとつの表現の場です。
そしてこの活動を通じて、誰かの心にそっと寄り添う空間を、一つひとつ丁寧に作りあげていきます。