今日のランチ、どこにしようかな。
僕はこういうとき、だいたいGoogleマップを開くんだよね。
近くのお店を探すなら便利だもんね。
Googleマップを開いたあとは、どうやって決めてるの?
まず写真を見るかな。
料理がおいしそうか、店内はどんな雰囲気か。それから評価を見て、口コミもいくつか読む。
良さそうな店が何軒かあったら比較して、決めた店にそのままナビをセットする。
なるほど。お店を検索するだけじゃなくて、探す、調べる、比べる、決める、そこまでの作業を全部自分でしているんだね。
そう。検索しているというより、自分なりに情報を集めて選別しているんだよね。
そこで思ったんだけど、この比較する部分は、いずれAIに置き換わっていくんじゃないかな。
うん。たとえばAIに、こんなふうに頼む形だね。
「現在地から車で10分以内で、駐車場があって、一人でも入りやすい店。予算は1,500円くらいで、今日は麺類以外がいい」
するとAIが条件に合いそうなお店を調べ、比較して、「今日はこの店がよさそうです」と理由つきで提案する。
「そこにする」と答えたら、そのままナビまで始まる。
今の技術なら、もうかなり近いところまで来ていそうだね。
それがね、もう始まってるんだ。
Googleは2026年2月、日本のGoogleマップで、Geminiを使って場所の情報を調べられる機能を提供していると発表したよ。
口コミやオンライン上の情報をAIが分析して、予約方法や隠れメニュー、駐車のコツなどを表示してくれる。
やっぱり、Googleマップ自体がそちらへ動いているんだね。
日本では、どこまで使えるようになっているの?
うん。日本国内のAndroidとiOSで、店について「大人数に向いていますか?」「テラス席はありますか?」「無料駐車場はありますか?」といったことを確認できるようになっているよ。
口コミを一件ずつ読む代わりに、Geminiによる要約で評判をつかむこともできる。
Googleの公式発表はこちらの記事で確認できるよ。
じゃあ、僕が写真や口コミを見ながらやっていることを、すでにAIが手伝い始めているんだね。
そういうこと。
海外では、さらに会話に近い「Ask Maps」という機能も始まっているよ。
Googleは2026年3月、米国とインドでAndroid・iOS向けに展開を始めたと発表したんだ。
Ask Mapsでは、どんなことができるの?
複雑な条件を普通の言葉で尋ねると、会話しながら候補を出してくれる。
Googleによると、3億以上の場所の情報や、5億人以上の投稿者による口コミなどを使って提案するそうだよ。
お店が決まったら、予約や保存、共有、経路案内にもつなげられる。詳しくはGoogleの発表に載っているよ。
僕が感じていた変化は、単なる想像ではなかったわけか。
ただ、店側の立場で考えると、そこで気になることがある。
AIは、何を見てその店をすすめるんだろう?
Googleマップに登録された所在地や営業時間、お客さんが投稿した写真や口コミ、Web上に公開されている情報などが判断材料になるよ。
人が店を決めるときと同じで、AIにも材料が必要なんだ。
店そのものが良くても、ネット上の情報が乏しければ、AIは判断材料を持てない。
人には口コミで知られている店でも、AIの候補には入りにくいことがありそうだね。
そうだね。情報が見つからなかったり、古いままだったり、場所ごとに内容が違ったりすると、AIは正しく判断しにくくなる。
魅力を説明できないだけでなく、条件に合う店の候補から外れてしまう可能性もあるよ。
そこで気になるのがInstagramなんだ。
最近はホームページを持たず、Instagramを中心に情報を出しているお店も多い。人が見る分には、写真も新メニューも営業時間の変更も分かる。
でも、同じ情報がAIにも同じように見えているとは限らないよね。
Instagramの情報を、AIがまったく利用できないわけではないよ。公開された投稿が検索結果などを通して参照されることもある。
ただし、一般公開されたWebページと同じように、どのAIでも投稿やリールを順番に見て、必要な情報をいつでも安定して取得できるとは限らないんだ。
つまり、Instagramで人にはしっかり発信できていても、AIに渡る情報としては不安定な場合がある、と。
うん。でも、だから「Instagramはだめ」という話ではないよ。
Instagram、Googleマップ、ホームページには、それぞれ違う役割があるんだ。
Instagramは店の今や雰囲気を伝える場所。Googleマップは探している人と店を結ぶ場所。
では、ホームページは店側が情報を整理して示す場所、という分け方かな。
Instagramは、写真や日々の投稿を通して、店の雰囲気や人柄を伝え、人とつながるのが得意。
Googleマップは、近くにいる人に見つけてもらい、写真や口コミで比較してもらい、そのまま来店まで案内するのが得意。
自社のホームページは、店の特徴、メニュー、価格、営業時間、駐車場、こだわりなどを、お店自身が責任を持って整理して伝えられる場所なんだ。
どれか一つあれば十分、という話ではないんだね。
それぞれの得意な役割をつなぎ、同じ店の情報として矛盾なく伝わる状態をつくる。そのことの方が大切そうだ。
そう。
そしてAIが人の代わりに店を探すようになると、ホームページの見え方も少し変わってくる。
人に読んでもらうだけでなく、AIに自分の店を正しく理解してもらうための公式な情報源にもなるんだ。
これまでは「人に見つけてもらえるか」を考えていた。
これからは、その前に店を探してくれるAIにも、きちんと分かってもらう必要があるのか。
すぐにすべてが変わるわけではないけれど、そういう視点は大切になっていきそうだね。
情報があるか。新しいか。場所ごとに矛盾していないか。そして、その店らしさまで伝わるか。
AI時代の情報発信では、そんな「情報環境」全体を整えることが必要になると思うよ。
「今日のランチ、どこにしよう?」
いつものようにGoogleマップを使っていただけなのに、考えてみると、店の選ばれ方そのものが変わろうとしているんだね。
次にAIがお店をすすめてくれるとき、そのAIは何を情報源にするのか。
そして、自分のお店や会社の情報は、そこにちゃんと入っているのか。
これは一度、考えてみた方がよさそうだね。