先日、お客さんから「AIっぽいデザインはやめてほしい」って言われたんだよね。
なるほどとは思ったけど、そもそも「AIっぽいデザイン」って何なんだろう。
よくイメージされるのは、紫や青のグラデーション、光るライン、未来的な3D表現、ガラスみたいな半透明のパネルですね。
たしかに、そういう見た目は一目で「AIっぽい」と感じやすいです。
でも、長いことデザインの仕事をしてきた僕が感じるAIっぽさは、ちょっと違う気がする。
AIが作るものって、内容も見た目もすごくよくまとまっているんだよね。
情報の抜けが少なくて、見出しも整理されている。写真も文字もきれいに収まり、全体のバランスもいい。
かなり優秀です。だからこそ、そこにAIっぽさが出るのかもしれません。
つまり、きれいすぎるってこと?
そうですね。AIは、できるだけ破綻なく、全部をうまくまとめようとします。
全部がきれいで、全部が正しくて、全部が説明されている。その整いすぎが、AIっぽさとして見えることがあります。
人間が作ると、どうしても少し偏りが出るもんね。
「ここを一番見せたい」「これは思い切って削ろう」「少しバランスは悪いけど、この写真を大きくしたい」とか。
そこには、情報整理だけではなく、デザイナーの意思が入っています。
何を見せて、何を引っ込めるか。その強弱や偏りに、その人らしさが出るんです。
じゃあ、AIっぽさを抜きたいなら、AIが作ったものを思いっきり壊してみたらいいのかな。
面白い考え方です。
全部きれいに並んでいたら、一つだけ極端に大きくする。余白が均等なら、あえて詰める場所を作る。情報が全部入っていたら、半分捨ててみる。
左右対称を崩したり、写真を大胆にトリミングしたりするのもいいですね。
ただ雑にするんじゃなくて、「何を伝えたいのか」を決めて、そのために壊すってことだね。
はい。整ったものを、人間の感覚でもう一度編集するんです。
AIには、構成を考えたり、文章を整理したり、デザイン案を出したりしてもらう。でも、その案を完成品だと思わず、素材として見る。
そこから人間が削る。ずらす。大きくする。捨てる。偏らせる。
AIに整えてもらって、人間が壊す。
その「壊す」という作業が、これからデザイナーに残る大事な仕事なのかもしれないね。
AIを使わないことが、人間らしさではありません。
AIを使ったあとに、「これは違う」「もっとこっちを強くしたい」「ここはいらない」と判断する。そこに人間の感覚が出ます。
AIっぽいデザインを抜く方法は、意外と単純なのかもしれない。
AIがきれいに作ったものを、一度思いっきり壊してみる。
そのとき初めて、自分のデザインになっていくのかな 笑
