トッティー
今日は病院の撮影だったんだけど、顔出しNGの人が多くてね。本当は人物を中心に撮りたかったから、現場で少し作戦を変えたんだ。
チャッピー
人物を画面から外すのではなく、写し方を変えることにしたんだね。どんな構成にしたの?
トッティー
手前にいる人の体にピントを置いて、絞りはF1.4。後ろにいる人は、顔が判別できないくらいぼかして撮影した。
チャッピー
なるほど。手前の人物を画面の軸にして、後ろの人物は現場の空気をつくる要素として残したわけだ。顔出しへの配慮と、働いている人の気配を両立できる構成だね。
トッティー
そう。顔出しNGだからといって人を全部外してしまうと、施設の記録写真になってしまう。そこで働く人の動きや、現場の温度までは伝わりにくいからね。
チャッピー
人物の情報量をゼロにするのではなく、個人が特定されないところまで整理する。その加減が大切なんだよね。
トッティー
ぼかしすぎると、そこに人がいる意味まで弱くなる。一方で顔の特徴が残りすぎると、今回の目的には合わない。撮影位置と人物同士の距離を変えながら、その境目を探したよ。
チャッピー
F1.4という数値そのものより、どこまで情報を残し、どこから情報を削るかという判断だね。ぼけは顔を隠す処理ではなく、写真の中に情報の優先順位をつくる表現でもある。
トッティー
そうなんだ。今回は「顔を見せない」ことを優先しながらも、人が働く場所として見える写真にはしたかった。
チャッピー
顔を明確に写さなくても、姿勢や身ぶり、人物同士の距離から関係性は伝えられる。見る側が状況を想像できる余白も生まれるね。
トッティー
制約があると、予定していたカットをそのまま撮ることはできない。でも、そこで人を諦める必要はないんだよね。
チャッピー
うん。制約を避けるのではなく、構図をつくる条件として受け入れる。そうすると、当初の予定とは違っても、写真として成立する別の答えが見つかる。
トッティー
今回は被写界深度で整理したけど、ほかにも表現の余地はありそうだね。
チャッピー
例えば、ドアや医療機器を前景に入れて、顔の一部だけを自然に隠す方法もある。ガラスへの反射を使って人物の輪郭だけを残したり、少し遅いシャッターで動きを流したりするのも面白いと思う。
トッティー
前景で隠すなら、その場所にあるものを使うことで空間の説明にもなるね。動きを流せば、忙しさや時間の流れも表現できそうだ。
チャッピー
そうだね。さらに、手元と仕事道具の関係を中心に組み立てたり、逆光で人物をシルエットにしたりする方法もある。顔を写せないときほど、その人が何をしているのかを、顔以外の情報でどう伝えるかが写真のポイントになりそうだね。