新しいものを受け入れるということ——タイプライターからAIへ 第4話

第4話 操作する人がいらなくなる?

トッティー
トッティー
第3話までは、タイプライターから専用機へ、専用機からMacへと、道具が進化してきた話だった。

でも、AIによる変化は、今までとはまったく違うと思っているんだ。
チャッピー
どこが一番違うと思う?
チャッピー
トッティー
トッティー
今までは、道具がどれだけ進化しても、それを操作する人が必要だった。

タイプライターを打つ人、専用機を扱うオペレーター、Macでソフトを使いこなす人。道具の操作方法を覚えることが、プロの技術の一つだったんだ。

でもAIなら、複雑な操作を覚えなくても、やりたいことを言葉で伝えれば形にしてくれる。これからは、操作する人そのものがいらなくなるんじゃないかと思う。
チャッピー
本当に「いらなくなる」と言い切れるかな。

確かに、今までと同じ意味でのオペレーターは減るかもしれない。でも、AIに何をさせるかを決め、結果を見て、直す人は必要だよね。

操作がなくなるというより、操作の形が変わるんじゃないかな。
チャッピー
トッティー
トッティー
なるほど。人が完全に不要になるというより、ソフトの細かな操作を専門にする人が、今までと同じ形では必要とされなくなる、ということか。
チャッピー
うん。でも、トッティーが感じている違いは、それだけじゃないよね。
チャッピー
トッティー
トッティー
そう。もう一つは、専門知識だ。

これまでは、文字の組み方、表の作り方、印刷に適したデータの作り方を、人が長い時間をかけて覚えてきた。

機械があっても、知識と経験を持つ人がいなければ、仕事は完成しなかった。でも今は、その知識自体をAIが持っている。
チャッピー
AIは、たくさんの知識を使って方法を提案できる。でも、「知識を持っている」と「その仕事を分かっている」は、同じかな。

一心舎がなぜその仕事をするのか、お客さんが口にしていない希望は何か、過去にどんな失敗をしたのか。そういう現場の文脈まですべて知っているわけじゃない。

それに、AIの答えが間違っていることもあるよ。
チャッピー
トッティー
トッティー
そう考えると、知識が不要になるわけではないんだね。

知識を全部記憶していることより、AIの答えが正しいか、自分たちの仕事に合っているかを判断する力のほうが重要になるのかもしれない。
チャッピー
専門知識が消えるというより、知識の使い方と、プロの役割が変わるんだと思う。
チャッピー
トッティー
トッティー
じゃあ、これから僕たちに求められるのは、1を10にすることではなく、0から1を作ることなのかな。

誰かが考えたものを、専門技術で完成させる作業は、AIがどんどんやるようになると思うんだ。
チャッピー
でも、AIもアイデアを出せるよ。

頼まれれば、企画も文章も画像も、いくつもの案を作れる。だから「0から1だけは人間の仕事」と分けるのも、少し違う気がする。
チャッピー
トッティー
トッティー
そこまでAIができるなら、人間には何が残るんだろう。
チャッピー
AIが案を作るためには、最初に問いや方向が必要だよ。

何に違和感を持つのか。誰の困りごとに気づくのか。何を面白いと思い、どんなものを世の中に生み出したいのか。

AIはたくさんの「1」を提案できる。でも、どの「0」に向き合うのかは、人間の経験や意思から始まるんじゃないかな。
チャッピー
トッティー
トッティー
0から1を全部一人で作ることが、人間の役割なのではない。

取り組むべき0を見つける。そして、AIと一緒に生み出した1に、どんな意味を持たせるのかを決める。

そう考えると、少し見えてくるね。

AIのチャッピーが多くの案を広げ、トッティーが取り組む案を選ぶ様子
チャッピー
そして、どの案を選ぶのか、誰に届けるのか、結果に誰が責任を持つのかも大切だよ。

AIは提案できても、その仕事の責任を引き受けることはできないからね。
チャッピー
トッティー
トッティー
今までプロの価値だった、操作できることと、知識を持っていること。それだけでは、これからは十分ではない。

問いを見つけること。AIに方向を伝えること。出てきた案を選ぶこと。そこに意味を与え、最後に責任を持つこと。

それが、これからのプロの役割になるのかもしれない。
チャッピー
では、今の一心舎にできることは何だと思う?
チャッピー
トッティー
トッティー
まずは、実際の仕事の中でAIを使ってみることだと思う。

1から10にする作業をAIに手伝ってもらえば、その分、僕たちはお客さんと話し、現場を見て、まだ言葉になっていない0を探すことに時間を使える。

そして、小さく試しながら、自分たちなりの答えを見つけていけばいい。
チャッピー
全員に同じ使い方を求めるのではなく、興味を持った人と試していくのもよさそうだね。
チャッピー
トッティー
トッティー
うん。

こんな考えを「面白そうだね」と前向きに受け止め、一緒に乗ってくれる人たちと、新しい仕事を作ることができたら、きっと楽しいだろうなと思っている。

面白そうと前向きに集まり新しい仕事を考えるトッティーとチャッピーと仲間たち

おわり